2025年6月に公開された映画『ルノワール』は、11歳の少女が“死”と向き合う姿を通して、家族のつながりや想像力の力を描き出す感動のヒューマンドラマです。
舞台はバブル景気に沸く1987年の東京。闘病中の父と過ごす日々の中で、少女・フキの目に映る世界は、現実と想像のあいだを行き来しながら、やがて心に静かな余韻を残していきます。
『PLAN 75』の早川千絵監督が手がけ、主演は若干11歳の鈴木唯。リリー・フランキーや石田ひかりら実力派俳優陣が脇を固め、国際的にも高く評価された本作の魅力を、あらすじやキャスト情報、感想とともに詳しくご紹介します。

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『ルノワール』作品概要
2025年6月20日に公開された映画『ルノワール』は、1987年の東京を舞台に、闘病中の父と暮らす11歳の少女が“死”と向き合いながら成長していく姿を描いたヒューマンドラマです。
監督は『PLAN 75』の早川千絵。主演の鈴木唯をはじめ、リリー・フランキー、石田ひかりらが共演。第78回カンヌ国際映画祭にも正式出品された注目作です。
作品情報
タイトル | ルノワール |
公開日 | 2025年6月20日 |
上映時間 | 122分 |
制作国 | 日本・フランス・シンガポール・フィリピン合作 |
配給 | ハピネットファントム・スタジオ |
監督 | 早川千絵 |
あらすじ
長編初監督作「PLAN 75」が第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でカメラドール(新人監督賞)の次点に選ばれるなど、国内外で高い評価を得た早川千絵監督の長編監督第2作。日本がバブル経済のただ中にあった1980年代後半の夏を舞台に、闘病中の父と、仕事に追われる母と暮らす11歳の少女フキの物語を描く。2025年・第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、早川監督にとってデビューから2作連続でのカンヌ映画祭出品となった。
1980年代後半。11歳の少女フキは、両親と3人で郊外の家に暮らしている。ときに大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性を持つ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごしていた。そんなフキにとって、ときどき覗き見る大人の世界は、複雑な感情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的だった。しかし、闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく。
マイペースで想像力豊かなフキが空想にふけりながらも、周囲の大人たちの人生に触れていく様子を通して、人生のままならなさや人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアをもって描く。フキ役はオーディションで選出され、撮影時は役柄同様に11歳だった鈴木唯。フキの母・詩子を石田ひかり、父・圭司をリリー・フランキーが演じるほか、中島歩、河合優実、坂東龍汰らが顔をそろえた。
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出演キャスト
役名 | 俳優名 |
沖田フキ | 鈴木唯 |
沖田詩子 | 石田ひかり |
御前崎透 | 中島歩 |
北久理子 | 河合優実 |
濱野薫 | 坂東龍汰 |
沖田圭司 | リリー・フランキー |
『ルノワール』出演キャストを詳しく紹介
映画『ルノワール』には、若手から実力派まで多彩な俳優陣が集結しています。主人公・フキを演じるのは、本作が本格的な俳優デビューとなる新人・鈴木唯。その父親役をリリー・フランキー、母親役を石田ひかりが演じ、家族の繊細な関係を丁寧に表現しています。さらに、中島歩、河合優実、坂東龍汰ら注目の俳優たちも出演し、物語に深みと彩りを加えています。
沖田フキ(演:鈴木唯)
本作の主人公である11歳の少女・沖田フキは、闘病中の父とともに暮らしながら、死や孤独への不安、日々の喜びと向き合っていきます。多忙な母との距離や周囲の大人たちの複雑な感情を敏感に感じ取りながらも、豊かな想像力で心の世界を広げていくフキの姿が、観客の心に静かに響きます。
フキを演じるのは、本作が映画初主演となる新人・鈴木唯(すずき・ゆい)。数百人の中からオーディションで選ばれ、瑞々しい存在感と繊細な演技でカンヌ国際映画祭でも注目を集めました。
沖田詩子(演:石田ひかり)
沖田詩子は、主人公フキの母親であり、仕事に追われながらも家族を支える存在です。夫の闘病と向き合いながら、娘との距離感や日々の葛藤を抱えた複雑な心情を、静かな表情の中ににじませています。
現実的でどこか淡々とした態度の奥に、母としての愛情や不器用な優しさが感じられる人物です。
詩子を演じるのは、映画・ドラマで長年にわたり活躍してきた石田ひかり。繊細で抑えた演技で、フキとのすれ違いや母としての苦悩を丁寧に体現し、物語に深みを与えています。
御前崎透(演:中島歩)
御前崎透は、主人公フキの父・洋一のかつての同僚であり、彼の病状を気にかけて訪ねてくる数少ない旧友の一人です。
物語の中では、フキの家族にそっと寄り添いながらも、過去のしがらみや未練を抱えているような、どこか影を感じさせる人物として描かれます。彼の存在が、家族の関係や記憶に小さな波紋を広げていきます。
透を演じるのは、舞台・映画・ドラマで活躍する俳優中島歩。静かな佇まいの中に複雑な感情をにじませる演技で、登場シーンに深みを与えています。
北久理子(演:河合優実)
北久理子は、フキの家の近所に住む若い女性で、フキの父・洋一と特別なつながりを持つ人物として登場します。彼女の存在は、家族の関係にささやかな揺らぎをもたらし、幼いフキの心にも複雑な感情を芽生えさせていきます。
一見クールで自由奔放に見える彼女ですが、その言葉や振る舞いの奥には、孤独や優しさが潜んでおり、物語に陰影を加える存在です。
久理子を演じるのは、若手実力派女優の河合優実。独特の空気をまとう佇まいと感情を抑えた演技で、観客に余韻を残すキャラクターを印象的に体現しています。
濱野薫(演:坂東龍汰)
濱野薫は、沖田家に出入りする訪問介護スタッフとして登場し、フキの父・洋一の療養生活を支える存在です。若くて飄々とした雰囲気の中に、介護という仕事への誠実さと人間的な温かみをあわせ持つ人物であり、家族とは異なる距離感から、洋一やフキに影響を与えていきます。
ときに空気を読みすぎるその優しさが、静かに物語の空気感を支えています。
薫を演じるのは、映画・ドラマで注目を集める若手俳優坂東龍汰。日常の延長にあるような自然体の演技で、作品全体にリアリティと穏やかな奥行きを与えています。
沖田圭司(演:リリー・フランキー)
沖田圭司は、主人公フキの父であり、かつては広告業界で働いていたものの、現在は病と向き合いながら自宅で静かに暮らしています。死期が近づく中で、日々の小さな出来事や家族とのやり取りに微かな希望や想像を見出そうとする姿が、物語に深い余韻をもたらします。
無口で控えめながらも、娘・フキと交わす目線や間に、確かな愛情と未練がにじむ繊細な人物です。
圭司を演じるのは、俳優・作家・イラストレーターとして多才に活躍するリリー・フランキー。抑制された演技で“死と共に生きる父親”の姿をリアルに描き出し、本作の静かな感動を支えています。
『ルノワール』見どころを紹介

映画『ルノワール』は、少女の視点を通して「死」と「生」のあわいを静かに描き出す、繊細で詩的な作品です。
1987年の東京を舞台に、バブル期の喧騒とは対照的な“静けさ”の中で展開される物語は、映像、演出、演技のすべてが緻密に積み上げられ、観る者の感情にじわりと染み入ります。
国際共同制作という背景もあり、どこか日本映画の枠を超えた広がりも感じさせる本作。ここでは、本作の映像美、演出、キャストの演技など、多角的な見どころをご紹介します。
【見どころ1】少女の視点で描かれる“死”との向き合い方
本作最大の魅力は、11歳の少女フキの視点を通して、家族の死とどう向き合うかが繊細に描かれている点です。大人では捉えきれない感情の揺れや、想像によって現実を塗り替えていく子どもの心の動きが、リアルかつ詩的に表現されています。
【見どころ2】演技未経験の主演・鈴木唯の瑞々しい存在感
主人公・フキ役の鈴木唯は、オーディションで選ばれた演技未経験の新人ながら、感情の微細な動きを見事に表現。彼女の自然な演技が作品全体のリアリティを底支えし、観客をフキの内面世界へと引き込みます。
【見どころ3】早川千絵監督の繊細な演出と映像美
『PLAN 75』で世界的に注目された早川千絵監督による、控えめで抑制の効いた演出も本作の大きな見どころです。日常の中にひそむ静かな緊張や、空気のような感情の機微を、丁寧なカメラワークと構図ですくい取っています。
【見どころ4】国際共同制作による多層的な世界観
本作は日本・フランス・シンガポール・フィリピン・カタールの5カ国による国際共同制作で、国内作品にはない独特の間合いや映像的な広がりを感じさせます。東京という都市が、喧騒と静寂の両面を持つ“記憶の場”として描かれているのも印象的です。
【見どころ5】日常に潜む“詩”のような演出構成
タイトルにもある“ルノワール”は、印象派の画家だけでなく、「生活の中にある光と影の揺らぎ」を象徴する存在として登場。現実と想像が重なり合うような演出によって、どこか詩的で夢のような余韻を残します。
『ルノワール』実際に観た人のレビュー・感想

4.5/5.0
映画『ルノワール』は賛否あるものの、私は好きでした。主人公フキの自由で鋭い思考に憧れを感じ、美しさを感じました。坂東龍汰の不穏な演技やリリー・フランキーの圧倒的な存在感も印象的で、静かな物語に深みを与えています。
3.5/5.0
映画『ルノワール』は、前作『PLAN 75』に続く早川千絵監督の長編第2作で、1980年代後半の夏を舞台に11歳の少女フキの成長を静かに描く作品です。鈴木唯の堂々とした演技が光り、誰もが経験する心の痛みや別れを繊細に映し出しています。物語は淡々として特別な事件はありませんが、ノスタルジックな雰囲気と詩的なタイトルが印象的。賛否が分かれるものの、じっくり味わいたい一作です。
3.0/5.0
映画『ルノワール』は、前作『プラン75』の好評価から期待して観ましたが、期待を裏切られた印象です。河合優実の出番は少なく、冒頭の意味不明な映像との無理な結びつきに戸惑いました。物語は断片的で理解しづらく、退屈なシーンも多いです。
一方で、鈴木唯の繊細な演技や河合優実の印象的な語りは光っています。豪華キャストと独特な演出があるものの、好みが分かれる作品で、じっくり味わう必要があるでしょう。
『ルノワール』ネタバレ・解説

映画『ルノワール』は、1987年のバブル期東京を舞台に、闘病中の父・圭司(リリー・フランキー)と暮らす11歳の少女・フキ(鈴木唯)の視点で展開されるヒューマンドラマです。物語はフキの繊細な感受性と想像力を通して、「死」と「生」のはざまに揺れる家族の姿を描きます。
物語終盤、父の容態が悪化する中、フキは想像の世界でルノワールの絵画のような光と影に包まれた幻想的な体験をします。これにより、死をただ恐れるのではなく、自然な生の一部として受け入れる成長が描かれています。また、母・詩子(石田ひかり)との関係も少しずつ変化し、家族の絆の再構築が示唆されます。
本作は、少女の視点から繊細に描かれる死生観が評価され、映像美や静謐な演出も高く評価されました。一方で、ペースがゆったりしているため好みが分かれる作品でもあります。
『ルノワール』類似作品を紹介

映画『ルノワール』は、繊細な少女の視点から家族や死、生と向き合うヒューマンドラマとして高い評価を得ています。同じように静謐な雰囲気や心の機微を丁寧に描く作品をお探しの方には、いくつかの類似作がおすすめです。
ここでは、『ルノワール』とテーマや映像表現、物語の構成が共通する国内外の映画をピックアップし、それぞれの魅力を紹介します。
『リリーのすべて』(2015年)
自分のアイデンティティや家族との葛藤を繊細に描いた伝記ドラマ。主人公の内面に深く寄り添いながら、人生の転換点を丁寧に描写しています。『ルノワール』同様、個人の成長と家族の絆がテーマであり、感情の機微を静かに映し出す点が共通しています。
『リトル・フォレスト 夏・秋』(2014年)
日本の田舎を舞台に、少女の自立と日常の小さな喜びを繊細に描く作品です。静かな映像美と内省的なストーリー展開は、『ルノワール』の詩的な雰囲気と通じるものがあります。観る者にゆったりとした時間と心の安らぎを届けてくれる一作です。
『息もできない』(2008年)
家族の問題や個人の苦悩をリアルかつ静謐に描いた韓国映画。複雑な感情の機微や社会的背景を背景に、登場人物の心情を深く掘り下げる点で、『ルノワール』と共通しています。観る者に重く響く物語ながらも、繊細な表現が胸に残ります。
まとめ

映画『ルノワール』は、11歳の少女フキの繊細な視点を通して、死と向き合う家族の姿を静かに、そして詩的に描いた作品です。主演の鈴木唯をはじめ、豪華キャストの演技と早川千絵監督の丁寧な演出が融合し、心に深い余韻を残します。
バブル期の東京という時代背景や国際共同制作ならではの映像表現も見どころの一つ。死生観や家族の絆に関心がある方にぜひおすすめしたい映画です。
本記事で紹介したあらすじやキャスト情報、見どころを参考に、ぜひ劇場でじっくり味わってみてください。