1970年代に起きた連続企業爆破事件の指名手配犯として、約半世紀にわたり逃亡生活を続けた桐島聡。その知られざる人生を映し出した衝撃の実話映画が【「桐島です」】です。逃亡者としての苦悩や葛藤、そして彼が抱えていた真実に迫る本作は、事件の背景だけでなく、人間ドラマとしても深い感動を呼び起こします。
この記事では、そんな話題作の作品情報やあらすじ、出演キャスト、さらに鑑賞者の感想まで、詳しくご紹介していきます。
事件の裏側に隠された真実と、逃亡者の複雑な心情に触れながら、ぜひ映画の世界に浸ってみてください。


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作品概要
1970年代の連続企業爆破事件で指名手配され、約50年にわたり逃亡を続けた桐島聡の半生を描いた実話ベースのドラマ。彼の逃亡生活に隠された真実や葛藤、そして時代背景を丁寧に描き出すことで、多くの人々の胸を打つ感動作となっています。
本作は単なる犯罪映画ではなく、一人の人間の複雑な心情に迫るヒューマンドラマとして高く評価されています。
作品情報
タイトル | 「桐島です」 |
公開日 | 2025年7月4日 |
上映時間 | 105分 |
制作国 | 日本 |
配給 | 渋谷プロダクション |
監督 | 高橋伴明 |
あらすじ
1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を映画化。2024年1月に末期の胃がんのため、神奈川県内の病院に入院していることが判明した桐島聡は、偽名で逃亡生活を送っていたものの「最期は本名で迎えたい」と素性を明かし、大きく報道されたが、その3日後に他界。数奇な道のりを歩んだ桐島聡の軌跡を、「夜明けまでバス停で」の高橋伴明監督のメガホンで描く。
1970年代、高度経済成長の裏で社会不安が渦巻く日本。反日武装戦線「狼」の活動に共鳴した大学生の桐島聡は、組織と行動を共にする。しかし、1974年の三菱重工爆破事件に関わり、多数の犠牲者を出してしまったことで、深い葛藤に苛まれる。組織が壊滅状態となり、指名手配された桐島は偽名を使い逃亡生活をつづけ、ある工務店で住み込みの職を得る。ようやく静かな生活を手にした桐島は、ライブハウスで知り合った歌手キーナが歌う「時代遅れ」に心を動かされ、相思相愛の関係となるが……。
桐島聡役を毎熊克哉が演じ、奥野瑛太、高橋惠子、白川和子、下元史朗、甲本雅裕らが顔をそろえる。
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出演キャスト
役名 | 俳優名 |
桐島聡 | 毎熊克哉 |
宇賀神寿一 | 奥野瑛太 |
キーナ | 北香那 |
ケンタ | 原田喧太 |
小林社長 | 山中聡 |
美恵子 | 影山祐子 |
金田 | テイ龍進 |
新井 | 嶺豪一 |
たけし | 和田庵 |
ヨーコ | 海空 |
番台のおばあちゃん | 白川和子 |
刑事 | 下元史郎 |
隣の男 | 甲本雅裕 |
AYA | 高橋惠子 |
桐島聡の生い立ち
映画【「桐島です」】の主人公となった桐島聡とは、どのような人物だったのか。
彼はどこで生まれ、どんな青年時代を過ごし、そしてなぜ過激派組織に加わる道を選んだのか――。
この章では、彼の生い立ちから事件に至るまでの背景をたどりながら、その内面と時代背景に迫ります。
少年期と大学時代
1954年に広島県生まれ。大学では明治学院大学法学部に在籍中、過激派の思想に傾倒し「さそり」組織に参加。社会の不公平や矛盾から離反し、爆破事件を起こす一員となりました。
連続企業爆破と指名手配
1974〜75年にかけて三菱重工や韓国産業研究所、間組などを標的にした一連の爆破事件に関与。1975年には重要指名手配犯として公開され、その後50年近く逃げ続けることになります。
偽名「内田洋」として潜伏生活
逃亡中は「内田洋」という偽名を使い、神奈川県藤沢市内で土木関係の会社に住み込み工として勤務。日雇い仕事を転々とし、ライブバーでのブルースやロックを楽しむなど、人目を避けながら穏やかな日常を送っていました。
最期と真相の顕在化
2024年1月、末期の胃がんで入院し「最期は本名で迎えたい」と明かしたのち、「私は桐島聡です」と自身を名乗る。報道の3日後に死亡し、DNA鑑定によって本人と確認されました。これにより長年続いた逃亡生活に幕が下ろされ、不起訴処分となりました。
桐島を演じた毎熊克哉とは?

映画【桐島です】で主人公・桐島聡を演じたのは、実力派俳優・毎熊克哉(まいぐま かつや)。
その抑制された演技と深みある存在感によって、実在の人物である“桐島”の静かな半生を見事に体現しました。
ここでは、毎熊克哉という俳優の演技の魅力に迫り、彼が本作で果たした重要な役割について紹介します。
日常に潜む深さを体現
毎熊さんは、日常の所作に重みを持たせる演技で、桐島という人物の長年の逃亡生活と、その中で得た生活の安定、そして静かな孤独を表現しました。朝起きて顔を洗い、歯を磨き、新聞をめくり、コーヒーを淹れるという何気ないシーンに、逃亡者としての緊張感や“人としての誠実さ”がにじみ出ています。
言葉に頼らず目で語る
台詞よりも沈黙や所作、まなざしに重きを置いた演技は、観る者に想像の余白を残します。特に、アパートの階段を無言で修理する場面では、「自分の居場所を整えようとする姿勢」が桐島という人物像を象徴しています。そうした些細な動きの一つ一つが、役に説得力を与えています。
普通を演じきる非凡な表現力
桐島という人物は、決してカリスマ的なテロリストではなく、目立たぬように生きた“普通の男”です。その存在を成立させるために、毎熊さんは表面的な演技を排し、「地味だけれど、どこかにいそうな人」として自然体で演じました。監督の高橋伴明氏も「彼の演技は“考えすぎず、感じる”ことに長けている」と絶賛しています。
老年期まで一人で演じ切る
劇中では、20代から70代までの桐島をすべて毎熊さんが演じており、老年期の演技も特殊メイクを用いず、動きや声色、表情の変化で自然に表現。時間の経過とともに変化する“重さ”や“疲れ”を、外見ではなく内面からにじませています。
俳優自身のルーツが役に深みを与える
興味深いのは、毎熊さんが桐島聡と同じ広島県出身である点です。地方出身者が都市に出てきて、時代の波に翻弄されるという構造を自身の体験としても理解できたことが、役への共感につながりました。その結果、ただの“逃亡者”ではなく、“どこにでもいたかもしれない誰か”としての桐島が描き出されています。
【「桐島です」】見どころを紹介

1970年代の連続企業爆破事件の実行犯として、約半世紀にわたって逃亡を続けた桐島聡。その劇的な人生を描いた映画【「桐島です」】は、実際の事件を基にしながらも、人間の内面に深く切り込む作品として注目を集めています。
ここでは、そんな本作の見どころについて、作品の背景や演出、俳優たちの演技などに注目しながらご紹介します。
【見どころ1】普通の人として生きた日常の描写
逃亡中の桐島=内田洋が、静かな住宅街で工務店に勤め、銭湯や居酒屋で地元の人々と交流しながら暮らす様子が淡々と描かれます。
目立たないように、しかし誠実に生きるその日常は、観る者に「罪を背負いながらも人は人として生きられるのか?」という問いを投げかけてきます。
まるで自分の隣にいたかもしれない誰かの人生のように、リアリティと余韻が残る描写です。
【見どころ2】毎熊克哉の抑制された熱演
主演の毎熊克哉は、桐島聡の20代から晩年までを一人で演じきり、セリフよりも眼差しや所作で人物の内面を表現します。
過剰な演出を排し、どこか物静かながらも芯の通った演技は、逃亡犯でありながら人間的な共感を呼ぶ力があります。
その抑制された演技は、観客の想像力をかき立て、作品に深い静けさと緊張感を与えています。
【見どころ3】河島英五「時代おくれ」の象徴的使用
劇中で印象的に流れる河島英五の「時代おくれ」は、桐島が歩んできた“ひと昔前の生き方”や価値観を象徴しています。
音楽が流れることで、セリフでは語られない心情や時代との距離感がにじみ出て、静かに感情を揺さぶります。
この選曲ひとつで作品全体のトーンや桐島という人物の輪郭がぐっと浮かび上がる、非常に秀逸な演出です。
【見どころ4】正義と罪を問う問いかけ
本作は、過去の罪をどう償うのか、そして正義とは何なのかという重いテーマを観客に静かに投げかけてきます。
逃亡=悪では片付けられない人間の事情や、国家と個人のあいだにある溝が、物語を通じてじわじわと浮き彫りになります。
明確な答えを提示せず、観る人に考える余白を残すその姿勢こそが、本作の最大の魅力とも言えるでしょう。
【見どころ5】高橋惠子のカメオ出演と背景の深み
AYAという謎めいた女性を演じるのは、監督のパートナーでもある女優・高橋惠子。
彼女自身の経験や視点が重なり、桐島の逃亡生活に“家族”や“受け入れられる場所”の重要性をそっと添えていきます。
登場シーンは多くないものの、物語全体に静かな深みを与える存在として非常に印象的です。
実際に観た人のレビュー&感想

5.0/5.0
幼い頃から指名手配犯として知っていた桐島聡。危険な人物と決めつけていましたが、映画を観て印象が変わりました。理不尽に抗う強い正義感と、時代に翻弄される切なさがブルースギターの音色とともに胸に響きます。
特に毎熊克哉の静かな演技が光り、桐島の内面を深く表現。単なる事件の映画化を超え、一人の人間の人生を丁寧に描いた良作です。
4.0/5.0
昭和の指名手配犯・桐島聡の死の間際の告白に賛否はあったものの、映画は彼を単なる悪者にせず、人間味や葛藤を丁寧に描いています。潜伏生活の静かな日常と時折見せる怒りや切なさが絶妙に交錯し、重いテーマながら共感も覚える作品です。昭和の時代背景と一人の男の複雑な人生を映し、多くの問いを投げかける映画と言えます。
3.5/5.0
約50年の逃亡生活を描いた本作は、河島英五の「時代おくれ」と共に桐島聡の人生の哀愁を伝えます。工務店での地道な生活もリアルに描かれ、若気の至りで過激な行動に走った一人の人間像が浮かび上がります。
しかし、爆破事件の犯人である事実は変わらず、美化は禁物。被害者の苦痛を考えれば許されない行為です。監督の手腕で淡々とテンポよく進み、俳優陣も好演。上映館は少ないものの、知的で観やすい作品です。
まとめ

映画【「桐島です」】は、実在の過激派・桐島聡の半生を描き、逃亡という極限下で静かに生きた男の姿を通して、正義と罪、信念と過ちの曖昧さを浮き彫りにします。毎熊克哉の繊細な演技と高橋伴明監督の抑制された演出が、重厚な人間ドラマを際立たせています。事件を知る人も知らない人も、一度はこの人物像と向き合ってみてください。